8 根彫り茶盤・台湾ケヤキ
Root-Carved Tea Tray - Taiwan Beechwood
今回の修復依頼は、台湾ケヤキの根彫り茶盤。お客様のお父様が長年愛用されていた、大切な「お茶時間の相棒」です。毎日のお茶の時間を共に過ごしてきたこの茶盤には、深い想い出が込められていました。長年の使用によって生じたひび割れを見て、手放すことができず、私たちに修復をご依頼くださいました。
まず、割れの位置と深さを丁寧に確認し、構造上の強度に問題がないかを慎重に見極めました。清掃には、木にやさしく、かつ茶渋を効果的に落とせる専用クリーナーを使用。茶盤本来のなめらかで温かな艶を引き出します。
割れ部分には、適切な木材用の補修剤を使って丁寧に充填し、強度と安全性を確保。その後、周囲との質感が自然になじむように、細部まで時間をかけて磨き上げました。
仕上げには、ケヤキの色味や使用環境に合わせて選んだ木蝋オイルで全体を保護。耐久性を高めるだけでなく、見た目の質感もいっそう引き立てます。最終チェックを行い、全体の仕上がりに問題がないことを確認してから、お客様のもとへお返ししました。
今回の修復を通じて、ただの茶盤ではなく、「日常に寄り添ってきた記憶のかたち」が、もう一度暮らしに戻ることができました。お客様にとっては、壊れた茶盤が戻ってきたのではなく、お父様とのかけがえのない時間が、そっとつながった瞬間だったのだと思います。
初期状態
茶盤は台湾ケヤキの根彫りで作られており、長年にわたり日常のお茶時間に使用されてきました。
使用によって盤面に茶渋が厚く蓄積し、全体的にくすんだ印象に。
表面には明らかなひび割れが見られ、構造の安定性や外観に影響を及ぼしていました。
修復のポイント
茶渋や汚れを丁寧に除去し、木本来の風合いを保ちながら清掃を実施。
ひび割れ部分には木材用充填剤を使用して補強し、滑らかに仕上がるよう丁寧に研磨。
最後に木蝋オイルで全体を保護し、耐久性と質感を高めました。


















