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● 会社案内
南国の陽ざしの下で、「美麗真・復木」は三十年以上の時を静かに歩んできました。最初は一枚のテーブル、一枚の扉から始まり、数えきれない家庭の暮らしの記憶をそっと支えてきました。
この歩みは、蔡(ツァイ)職人と木との深い絆から始まりました。若き日に台北へ弟子入りし、修業を積んだのち、台中に戻り、内装工事や家具制作の仕事に励みました。一つひとつの道具を手に、真摯に木工の道を歩み続けました。1996年、「美麗真家具行」を霧峰にて創業し、現代の無垢材家具を中心に展開、地域の暮らしに寄り添う存在となりました。その後、921大地震で一時的に事業は中断しましたが、木工への想いは途切れることはなく、2005年に再び工具を握り、古家具の買取と修復を始めました。翌年には家族で台南へ移り、修復を中心としたサービスが本格的にスタートしました。ここ台南では、日本各地からさまざまな古家具が届きます。おばあちゃんの嫁入り道具、お父さんの書斎机、実家のスツール──どれもが、特別な物語と時の痕跡を携えています。
私たちは伝統的な木工の精神を受け継ぎ、分解・手作業による剥離・ホゾ組の補強・研磨と平滑処理・天然塗料での仕上げまで、一つひとつの工程を丁寧に重ねています。木の個性を大切にしながら、古い家具を丈夫に、そして再び使える状態へと蘇らせます。そのうえで、時が刻んだ風合いはそのままに。
現在では、二代目がその歩みを引き継ぎ、父が築いた「美麗真」の名と共に、「復木」としての新たな視点を加えています。手仕事と精神を継承しつつ、現代のデザインやブランド的視点も取り入れ、より多くの人々にその魅力を届けたいと考えています。復木──それは単なる木の修復ではなく、記憶をつなぐ営みです。サービスから選品、修復から展示まで、一つひとつの古いものが、再び暮らしの中で息づき、目に触れ、使われ、愛されること。それが私たちの願いです。これからも家具修復を軸に、展覧会や知識の共有、職人ワークショップなどを通して、多くの人に無垢材の魅力や木工技術の奥深さ、そして「大切にする心」を伝えていきたいと思っています。
大切にすることこそが、本当の継承なのだと信じて。「美麗真」では、修復された一つひとつの古家具が、時代の証人です。私たちは、その家具がそっと日常に戻れるよう、寄り添うだけ。そしてもう一度、新たな物語を、あなたの暮らしとともに紡いでいけるように──。

1999年・美麗真家具行(台中・霧峰)
夏の夕暮れ時、店内で撮影された蔡師傅(右)と二代目(左)の一枚。背景には当時販売していた無垢材家具が並び、台湾における家具卸売時代の全盛期を映し出しています。
2019年・美麗真・復木(台南・佳里)
蔡師傅が古家具の手入れをしている様子。その丁寧で繊細な技術には定評があり、地元の多くの古家具が彼の手を経て、再び使われるようになりました。

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2025年・美麗真・復木(台南・佳里)
台19号線沿いにある工房は、かつては修理工場として使われていた建物。今では、木を修復するための古道具の店として新たな役割を担っています。左手には蕭隴(しょうろう)サッカー場があり、佳里の人々にとって馴染みのある運動スポットです。