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3 客家格子窓付き食器棚・台湾クスノキ
Hakka Lattice-Window Cupboard - Taiwan Camphor
こちらは**1940年代ごろの苗栗産・客家格子窓付き食器棚(菜櫥/ツァイツー)**で、台湾産クスノキを用いて丁寧に作られた一品です。
上部の梁には「四頭四尾」と呼ばれる平行線の彫刻模様が施されており、これは客家文化における**家事・農作・炊事・手工芸(女紅)**という四つの重要な役割を象徴しています。さらに、**日本統治時代の水屋(みずや)に見られる「蛭手(ひるて)型の引手金具」**が取り付けられており、日式木工と客家の暮らしが融合した時代背景を映し出しています。
修復をお預かりした際、棚の表面は古い塗膜と埃で覆われており、引き戸はスムーズに動かず、背板には大きな亀裂、金具も錆びて光を失っていました。それでも、木目にはかすかに時代の息遣いと生命力が残っているのが感じられました。
私たちは深層までの塗膜除去と細部の手磨きを行い、背板の割れを補修し、榫(ほぞ)組みの補強を通して構造の安定性を回復。刻まれた文様や金具の経年の味わいはあえて残すことで、日式と客家工芸が交差する文化的背景を大切にしながら、再び日常で使える実用性と温もりのある手触りを取り戻しました。
初期状態
表面は古い塗膜と埃に覆われ、彫り込み模様の溝には汚れが詰まっていた。
引き戸のほぞ組が緩み、背板には目立つ亀裂が生じていた。
蛭手型の掛耳引手には錆が広がり、金属本来の質感が失われていた。
修復のポイント
塗膜を深層まで除去・清掃し、客家特有の彫刻模様を残しつつ際立たせた。
ほぞ組と背板・引き戸の亀裂を補強し、構造の安定性を回復。
金具の錆を除去して丁寧に磨き上げ、仕上げにワックスを施して保護・耐久性を向上。

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